選挙関連銘柄・オンライン選挙関連株
菅総理が自民党総裁選に出馬しないことが報道されニュースを賑わせました。
退陣理由には様々な事が言われていますが、主な要因としては支持率が29%(※時事通信調べ)と低迷してしまったことが挙げられている感じでしょうか。
2020年9月14日に自民党総裁選が行われ圧倒的な得票で勝利した菅総理大臣でしたが、僅か1年の歳月でこの評価の遷り変りは残酷な気もしますね…。
菅総理の退陣表明により、衆議院選挙の投開票が任期満了よりずれ込む見通しになりました。
菅総理は10月17日投開票を軸に検討を行ってきていましたが、退陣により白紙に。
総裁選の日程は「9月17日告示、29日投開票」と決定していますので29日に新総裁を選出し、その後に首相を指名する臨時国会が召集される見通しです。
そして新総裁選出後に行われる衆院選挙の日程については2パターンのシナリオがあります。
衆議院の任期満了日は10月21日ですが国会が開かれている場合は閉会日翌日を起点に24日から30日の間に投開票を行うと規定されています。
臨時国会の閉会が10月上旬と想定されますので、このケースでは10月31日~11月14日が投開票日となる見通しになります。
任期満了日の10月21日に解散した場合、憲法で規定されている解散から40日の11月28日まで延びる事となります。
いずれにしても9月29日に選出される新総理が選挙日を決定し、10月31日~11月28日の間での投開票になると見られています。
因みに、衆議院選挙が任期満了選挙で行われるのは戦後2度目、現憲法下で行われるのは初のケースとなります。
今回の衆議院選挙は特殊な状況で行われますが、選挙時に物色人気が強まる銘柄があるのをご存じでしょうか?
まさに旬なテーマ株と言える「選挙関連銘柄」を今回はピックアップしご紹介してみたいと思います。
選挙関連銘柄とは?
選挙関連銘柄とは、国政選挙が行われることで業績に恩恵が見込まれると期待される銘柄の総称です。
国の行方を選挙で決める国政選挙(衆議院選挙・参議院選挙)は国家や社会にとっての一大イベントですが、国政選挙を実施するには多額の運営費用が発生してきます。
日本で国政選挙を実施する場合に生じる費用は約600億円となっており、直近の国政選挙、2019年7月の第25回参議院選挙では約571億円の国費が投じられています。
この費用が選挙関連銘柄に流れる事で関連銘柄に期待が集まります。
では「選挙関連銘柄」と一口に言ってもどのようなものがあるのでしょうか?
選挙の度に注目される銘柄としては選挙用品や印刷、アンケート(各種調査)関連の事業を手掛けている企業などが挙げられます。
2013年より認められているインターネットでのPR活動を支援する事業は、コロナ禍で直接有権者にアピールできる場が限られている現状を考えると更に注目されるでしょう。
また、将来的にインターネットでのオンライン選挙が実現されれば、関連銘柄もさらに広がる可能性がありそうです。
選挙用の投票機器メーカー
選挙には投票用紙の計数機が必要です。
投票用機器のトップメーカーのムサシ(7521)や、投票用紙自動交付機のグローリー(6457)などが挙げられます。
特にムサシは選挙関連銘柄として代表的な企業で、選挙が行われると発表される度に注目されてきている企業です。
投票をインターネットで行えるようになったとしても、直接足を運び投票する形式が完全になくなったりはしないと思うので、「ムサシ(7521)」「グローリー(6457)」あたりは選挙関連銘柄の本命株としてしっかり頭に入れておきたい銘柄ではないでしょうか。
選挙用ハガキ・ダイレクトメール関連企業
選挙を知らせるハガキやダイレクトメールなど、選挙に欠かせない分野です。
選挙に関心のない人など、届いた封筒を開封することなく捨ててしまっている人もいるかと思いますが、選挙時に投票権がある国民全員に送付されているかと考えると、関連企業には大きな特需となっているのではないでしょうか。
封筒事業で業界首位の「イムラ(3955)」は官需関連に強く、こちらも選挙関連の代表的な銘柄として知られています。
選挙関連の報道があった際に物色される傾向があるので、「イムラ(3955)」も選挙関連銘柄の本命株としてしっかり頭に入れておきたい銘柄ではないでしょうか。
オンライン選挙関連会社
2013年にインターネットでの選挙活動が解禁されました。
ネットでのPR活動やそのPR活動の監視、インターネットでの世論調査も行われています。
コロナ禍で街頭演説など有権者と直接触れる活動が自粛傾向にある中、SNS等を活用したPR活動は増え、候補者にとって重要なアピールの場となってきています。
ネット上の監視に強い企業の代表株と言えそうな「イーガーディアン(6059)」はネット選挙での広告監視や選挙対策セミナーを行っています。
他にはSNSやネット配信に強いPR会社の「ベクトル(6058)」などが挙げられます。
また、今後の進展が期待されるオンラインでの投票は、ブロックチェーン技術を活用したものが予想され、法整備等の課題をクリアし“いよいよ”となった場合、関連銘柄への思惑が集まりそうです。
選挙用品関連企業
「西尾レントオール(9699)」は机や椅子などの選挙事務所用の備品、必勝だるま、メガホンなど、選挙向けのレンタル用品を扱っています。
選挙で用いられている必勝だるまは高さ38センチほどの12号サイズから高さ75センチほどの18号サイズぐらいまであるようですが、価格の高い大きいサイズで30,000円~40,000円ぐらいのようです。
選挙関連として世論調査会社にも注目
選挙前には世論調査、選挙時の出口調査などに関連した銘柄も物色される傾向にあります。
「GMOリサーチ(3695)」はネット調査、「パソナ(2168)」は出口調査で注目の銘柄として挙げられます。
海外で進められる選挙のオンライン化・オンライン投票の動き!日本は?
インターネット投票によるオンライン選挙に向けた動きが進んでいます。
世界ではエストニアで国民IDカードを使ったインターネット投票が2005年に実施されています。
韓国でもブロックチェーン技術を活用した実証実験が行われ、アメリカでも一部の州でインターネット投票を実施しており、今後世界的な流れになると予想されます。
インターネット投票には多くのメリットがあります。
特に天候を気にせず投票が行える事は大きなメリットでしょう。
大雨だと投票所に向かう足はどうしても重くなりますし、逆に晴れの日は日曜日をレジャー等で外出したい人が増えるという事で実は投票率が下がるそうです。
インターネットで投票を行うことが出来れば、どんな人でもどこにいても、ちょっとした空いた時間で行う事が出来るようになります。
高齢者や障害のある方でもわざわざ外出せず投票出来るようになりますし、PCやスマートフォンを使いこなす若年層の投票率アップも期待出来ます。
そして、デジタルでの投票ですので開票が早く、自動で正確に行えます。
会場やスタッフの確保、細かくてアナログ化している開票作業…これら大がかりな事がデジタル化で解消される事となるでしょう。
確かにオンライン選挙を実現するには多くの課題も残っています。
第一に改ざんや漏洩のない事やサイバーアタックでのシステムダウンが起こらない高度なセキュリティを持つシステム、ネットワークが求められます。
投票にあたってはマイナンバーカードの活用が考えられているようですが、なりすまし投票や二重投票を防ぐ確実な本人確認、そして誰がどの政党、立候補者などに投票したの分からないようにする投票内容の秘匿性も必要です。
法整備も必要でマイナンバーカードは住民票が海外に移れば失効しますし、インターネットでの投票自体を認める公職選挙法の改正も行わなくてはなりません。
今後インターネットを使った訴求が加速し、公職選挙法の改正を通じた将来的なネット投票実施への動きも強まる可能性はありそうです。
インターネット投票に向け総務省は2018年8月には国内初のブロックチェーンとマイナンバーカードを活用したネット投票の実証を行うなど、地方公共団体においても取り組みが始まっています。
選挙関連銘柄・オンライン選挙関連株
それでは代表的な選挙関連銘柄をピックアップし要点をまとめご紹介してみたいと思います。
古くから選挙の度に特需となる老舗銘柄や、インターネットでの選挙活動を支援する銘柄、将来的なオンライン選挙実現に期待される銘柄など様々です。
選挙関連銘柄 ムサシ(7521)
※時価総額:165億円、PER24.7倍、PBR0.53倍(2021年9月13日時点)
ムサシ(7521)は毎分660票を高速識別し自動分類する投票用紙分類機を手掛けています。
他にものぼり、横断幕、たすき、投票用紙などの選挙用の小物も取り揃え、さらには投票率を高める選挙啓発のためのプロモーション支援や啓発用品など、多彩な商品やサービスの開発・製造・販売及びメンテナンス業務を行う、選挙銘柄の老舗と言える存在です。
過去の業績を調べると民主党政権が誕生した2009年8月の衆院選(2010年3月期)、2012年12月の衆院選の時期(2013年3月期)に大幅増益となっています。
選挙関連銘柄 グローリー(6457)
※時価総額:1,567億円、PER33.2倍、PBR0.78倍(2021年9月13日時点)
グローリー(6457)は1996年から投票用紙分類機を発売し、累計1100台以上を500を超える自治体で導入しています。
同社の投票分類機は投票箱から取り出した用紙を裏表混合セットしても装置内で自動的に同じ向きに揃え、最大64の箱に分類できるようです。
分類機には文字を読み取るセンサーを内蔵し、ひらがなや漢字など文字が違っても同一人物を同じ箱に分けることが出来ます。
これにより大幅な人員コストの削減に貢献しており、選挙関連銘柄の1つとして頭に入れておきたい銘柄ではないでしょうか。
選挙関連銘柄 イムラ封筒(3955)
※時価総額:111億円、PER13.9倍、PBR0.72倍(2021年9月13日時点)
イムラ封筒(3955)は封筒事業でシェア2割を占める業界最大手です。
同社も選挙前には必ずと言っていいほど思惑買いが起こるほど選挙と関連性の高い銘柄です。
1回の国政選挙で同社の封筒関連事業の売上高は約1億円に及びます。
窓付き封筒の製作と、投票所の入場整理券や地図の封入サービスなどで、各5000万~6000万円ずつを売り上げるようです。
ダイレクトメールや選挙用通知封筒などを手掛ける同社は選挙銘柄として周知されている企業となります。
選挙関連銘柄 イー・ガーディアン(6050)
※時価総額:350億円、PER30.8倍、PBR6.65倍(2021年9月13日時点)
イー・ガーディアン(6050)はインターネット監視など総合ネットセキュリティ事業を展開しておりインターネット上の風評被害等のサイト監視や広告表現を監視するノウハウを持っています。
2013年にインターネットでの選挙運動が認められましたが、同年から公職選挙法・選挙広告に対応した広告監視サービスやソーシャルメディアの違反活動パトロールやポジティブ・ネガティブ情報などの収集・分析調査を行う風評調査サービスを提供しています。
警察庁のサイバー犯罪対策課にネット上の選挙運動の課題や対処法のセミナーを行うほどで、選挙銘柄としては抑えておきたい銘柄となります。
選挙関連銘柄 ベクトル(6058)
※時価総額:552億円、PER54.9倍、PBR4.52倍(2021年9月13日時点)
PRを支援するベクトル(6058)は、SNSを使ったPR戦略のノウハウを豊富に持っています。
傘下のトータル(旧イレクション)社は各種SNSを活用した選挙関連の総合サービスを展開しています。
コロナウイルスによって一般的な選挙演説や握手会などが自粛せざるを得ない中、SNSでの選挙活動が普及しつつあり、それにより同社への注目が高まる状況となっています。
選挙関連銘柄 西尾レントオール(9699)
※時価総額:874億円、PER11.1倍、PBR0.82倍(2021年9月13日時点)
西尾レントオール(9699)は建設機械などのレンタルが主力ですが、“総合レンタル業”として選挙関連事業にも関わっています。
選挙時には開票所や候補者事務所の設営を同社が行います。
開票所では開票作業に伴う簡易机・椅子などの備品が数多く必要になり簡易机は西尾レントの西日本エリアだけでも1000台程度あるようです。
候補者の事務所では机や椅子に加えてロッカーや冷蔵庫などを用意し、選挙活動用のグッズとなる拡声器やダルマ、はちまきなどを含めると相当のアイテム数と数量を揃えるのが強みとなっています。
選挙関連銘柄 フルキャストホールディングス(4848)
※時価総額:860億円、PER18.0倍、PBR4.73倍(2021年9月13日時点)
フルキャストホールディングス(4848)は人材サービスを展開する企業として知られているかと思いますが、選挙時には選挙スタッフのサービスを行っています。
アフターコロナ後の人材不足を見込みすでに人材派遣関連の銘柄は上昇しています。
フルキャストも衆議院選挙で思惑買いが起こりコロナ前の価格を超えていくことが期待されます。
選挙関連銘柄の本命株や出遅れ株を上手く狙いたい人は
代表的な選挙関連銘柄をピックアップしご紹介してみましたが、上記以外にも選挙中の世論調査を行う「GMOリサーチ(3695)」、コールセンターの大手で選挙後の出口調査を行う「ベルシステム24(6183)」や、人材サービス大手の「パソナグループ(2168)」等が選挙関連銘柄として注目しておきたい銘柄でしょうか。
選挙関連銘柄は定番のテーマ株として総選挙の度に注目されてきています。
その度に短期的に物色され買われる傾向にあるテーマですので、“タイミング良く”エントリーしたいですね。
特徴としては選挙前に買われ、投票日にはすでに利益確定売りが行われている傾向があります。
なので乗り遅れてしまった際は高値掴みとならないように注意が必要です。
また、大手の広告代理店や、日本郵政(6178)など様々な事業を行っている大企業では大きく業績に影響は及ぼさないため中小型でど真ん中の銘柄を上手く狙っていきたいところです。
あと、こうしたテーマ株はニュースや新聞などで関連報道がでることで投資家からの関心を集め物色されたりしますが、最近は株情報サイトなどでアナリストが注目株として取り上げることで物色人気が強まるケースも珍しくありません。
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