【脱プラスチック】バイオプラスチック関連銘柄
今、世界各国で巻き起こっている”脱プラスチック”の動き。
これに伴い、代替素材として注目されているのが「バイオプラスチック」です。
あのスターバックスやマクドナルドもプラスチック廃止を発表しており、この流れはいずれ日本でも本格的な動きを見せるでしょう。
現に、飲食チェーン最大手の「すかいらーく」も2020年までにプラスチック製ストローを順次廃止することを発表しており、”脱プラ”によってビジネスチャンスを得る企業も多いはず。
まだまだ注目され始めたばかりのテーマだけに、代表的と言える銘柄は現れていませんが、今後株式市場にも訪れる”脱プラスチック”の波を乗りこなすためにも、今から関連銘柄を抑えておきましょう。
脱プラスチックとは?各国の企業が環境保全の動き
2050年には海のプラスチック量が魚の数よりも多くなると言われており、世界中でプラスチック問題への関心が高まる中、今世界各国の政府や企業でプラスチックの削減を目指す「脱プラスチック」の動きが活発化しています。
スターバックスやマクドナルドをはじめ、日本企業も”脱プラ”を発表。
今後さらに活発化するであろう”脱プラ”の動きを利益に替えるためにも、今のうちに「脱プラスチックとは?」を知っておきましょう。
脱プラスチックとは?
脱プラスチックとは、その名の通りプラスチックを廃止する動きで、今世界中でこの動きが活発になっています。
そもそも、なぜプラスチックを廃止する必要があるのか?
プラスチックは石油から作られるため、自然分解されずに半永久的に残るといった特徴を持ちます。ポイ捨てやごみ処理の過程で海にたどり着いたプラスチックは、石油と親和性の高い汚染物質を吸収し、意図せず汚染物質を運ぶことになります。
また、物理的な被害としては、東京湾で釣った64匹のイワシのうち、80%にあたる44匹のイワシの体内から5mm以下のプラスチック粒子「マイクロプラスチック」が出てきたという調査結果も出ています。もちろん、最終的にこれを食べるのは人間だということも忘れてはいけません。
これらの問題を受け、現在海外企業だけでなく日本企業でも”脱プラ”の動きが始まっています。
スタバやマクドナルドも”脱プラスチック”を発表
スターバックス
前述した環境問題を受け、世界規模のコーヒーチェーン店「スターバックス」は、2020年までに世界に展開する約28,000店舗でプラスチックストローの使用を廃止することを発表。
実現すれば年間で10億本以上のストロー廃棄を削減できるとしており、ロンドンのスターバックスにおいては、使い捨てカップ代の徴収をテスト導入するとのことです。
マクドナルド
また、2018年9月から「マクドナルド」も英国とアイルランドの1,361店舗でプラスチックストローから紙製ストローに順次切り替えることを発表。
2025年までに日本を含む全世界の全店舗でプラスチックストローを廃止することに加え、包装紙をリサイクル可能な資源に切り替えるとしています。
ディズニー
米ディズニーパークの運営を手掛ける「ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー」も、2019年半ばまでに自社が所有・経営するテーマパークやリゾートで、使い捨てのプラスチックストローやマドラーを撤廃すると発表。
これにより、年間1億7500万本以上のストロー、1300万本以上のマドラー使用を削減できるとこのことです。
ただし、東京ディズニーリゾートの運営会社は「オリエンタルランド」であるため、この決定には含まれません。
「すかいらーく」など日本企業も続々と”脱プラスチック”
すかいらーく
「ガスト」や「ジョナサン」などを手掛ける「すかいらーく」も海外企業に続き、2020年までにプラスチック製ストローを順次廃止することを発表。
利用客からの要望や必要性がある場合や、タピオカ入りドリンクを注文した場合に限って提供されるそうです。
三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険は、社員食堂でのプラスチック製ストローとカップの提供を廃止し、紙製に切り替えを決定。
今後、カップのプラスチック製フタは紙製で代替するとのことです。
このように国内外の企業が続々とプラスチック廃止を発表する中、プラスチックの代替素材として「バイオプラスチック」が注目を浴びています。
脱プラスチックで代替素材「バイオプラスチック」に脚光
脱プラスチックの動きに乗じて脚光を浴びているのが「バイオプラスチック」です。生分解性プラスチックやバイオプラスチックなど、環境に良いプラスチックの総称で、これを開発する企業、扱う店舗にとって”脱プラ”は大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
バイオプラスチックとは
プラスチックの代替素材として最近注目を集める「バイオプラスチック」。
いわゆる環境に良いプラスチックの総称で、2種類のプラスチックが含まれます。
1つは、植物などの生物資源(バイオマス)から作られ、石油の消費を減らすことを目的とした「バイオマスプラスチック」。
もう1つは、廃棄した後に微生物によって分解される「生分解性プラスチック」です。
–––バイオマスプラスチック –––生分解性プラスチック
日本バイオプラスチック協会(出典)http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-02/y031202-5r.pdf
バイオマスプラスチック
石油をはじめとする化石資源を合成して作られる本来のプラスチックとは違い、バイオマスプラスチックは、植物などの生物資源(バイオマス)を原料とします。
石油は枯渇が危惧されている上に地球温暖化の一因ともされているため、バイオマスプラスチックは、できるだけ石油に頼らず持続的に作ることができる新たなプラスチックとして研究・開発が進められています。
生分解性プラスチック(グリーンプラ)
一方、生分解性プラスチック(グリーンプラスチック)は、その原料に関わらず一定条件の下で微生物に生分解されるプラスチックを指します。
「生分解」とは、「微生物によって完全に消費され、自然的副産物である二酸化炭素・メタン・水・バイオマスなどのみを生じるもの」なので、海に漏れ出したとしても残ることはなく、小さなマイクロプラスチックなどが海をさまようことが無くなります。
石油の枯渇を防ぐために原料を重視するバイオマスプラスチックと
廃棄した後の環境保全を重視する生分解性プラスチック。
それぞれ用途に応じて、今後大きな需要が期待できるのではないでしょうか。次は、この脱プラスチックの流れをビジネスチャンスとする「バイオプラスチック関連銘柄」をご紹介します。
【脱プラスチック】バイオプラスチック関連銘柄一覧
素材開発に強みを持っている日本では、バイオプラスチックに関しても特に注目すべき企業が多く存在します。世界で活発化する”脱プラ”の動きに伴い、物色の矛先が向かうことは間違いありません。
最近注目され始めたテーマだけに、代表的と言える銘柄はまだありませんが、今後大きな上昇も期待できる「バイオプラスチックの研究開発を手掛ける化学・繊維メーカー」を中心にご紹介します。
[3402]東レ
東レは、世界トップの炭素繊維をはじめとする高シェア製品を多数保有している、合成繊維大手会社です。
バイオマス由来のグリーンイノベーション製品「ポリ乳酸樹脂エコディア」や「ナイロン610樹脂アミランRCM2000シリーズ」を手掛けています。
世界最高水準の難燃性を実現しており、これまでポリ乳酸単体では実用化が困難とされてきた電気・電子機器やOA機器用途などにも展開しています。
時価総額が巨額で大きな値動きは期待できないため、投資の際は中長期で挑むのが良いでしょう。
[4118]カネカ
カネカは、サプリ「コエンザイムQ10」のトップ原料製造企業で、資生堂、小林製薬、DHCなどへも供給する国内化学メーカーです。合成繊維、樹脂、食用油脂類、医療機器・医薬、電子材料など多岐にわたる事業を手掛けています。
2017年11月に「カネカ生分解性ポリマー PHBH」で海洋分解の認証を取得したと発表していることから、バイオプラスチック関連銘柄として見られています。
東レほどではないにしろ、こちらも時価総額が大きいので中長期投資が前提となる銘柄でしょう。
[3103]ユニチカ
ユニチカは、フィルムや樹脂などの高分子事業を手掛ける会社です。
植物由来のポリ乳酸をベースにしたバイオマスプラスチック「テラマック」を手掛けていることから、バイオプラスチック関連銘柄として見られています。
また、2019年3月には、国内外大手飲食店によるプラスチック製ストロー廃止の動きに伴い、テラマックのストロー向け樹脂グレード「TP-5040」を開発したことを発表。
バイオプラスチック関連銘柄の中でも、特に時価総額の小さな銘柄であるため、その値動きにも要注目です。
[4021]日産化学
日産化学は、化学品や機能性材料、農業化学品を手掛けており、半導体用洗浄剤やディスプレイ材料、農薬等を製造・販売している化学メーカーです。
バイオプラスチックの結晶化速度を促進する「エコプロモート」を手掛けており、”脱プラスチック”の動きでバイオプラスチックの市場が拡大すれば、同社にもビジネスチャンスが期待できます。
直接バイオプラスチックを開発しているわけではないため、いわゆる出遅れ銘柄としての立ち位置になるため、開発を手掛ける企業の業績向上や株価上昇と連鎖して株価上昇も期待できるでしょう。
[3945]スーパーバッグ
スーパーバッグは、百貨店や専門店向けの紙袋・ポリ袋などの包装製品で業界トップを誇り、国内で初めてショッピングバッグ量産体制を構築した総合パッケージメーカーです。
バイオプラスチックに関する技術確立と普及促進等を目的に設立された任意団体「日本バイオプラスチック協会(JBPA)」のJBPAマーク会員となっていることから、バイオプラスチック関連銘柄として見られています。
時価総額も小さいため、出遅れ銘柄として注目しておきたい銘柄です。
”脱プラ”で上がるバイオプラスチック関連銘柄は?
ここまで、今世界各国で巻き起こる”脱プラスチック”の動きと、それに伴って脚光を浴びている「バイオプラスチック」についてご紹介してきました。
ここ最近注目され始めたテーマだけに、まだまだ「この銘柄!」と言える代表銘柄はありませんが、世界に続いて日本企業も本格的に動き出すことは間違いありません。
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